一緒に転び、一緒に立ち上がる
ハイライト
2025-12-13
一緒に転び、一緒に立ち上がる
最初の挑戦は、波が来る前に終わってしまった。 バランスを崩し、そのまま海へ落ちる。鼻に一気に広がる塩辛さ。咳き込み、ほんの一瞬のパニックのあと、こらえきれない笑いがこみ上げた。水面に浮かび上がると、お互いを指さしながら、自分たちの姿を笑い合った。 何度挑戦しても、大きくは変わらなかった。 少しだけ立てることもあれば、立ち上がる前に転んでしまうこともある。膝は痛み、手は震え、少しずつ疲れが溜まっていった。それでも、どちらかが迷ったときには、もう一人が必ずそばにいた。小さくうなずき、静かな笑顔を向け、ただ一言「もう一回」と声をかける。 塩水は何度も鼻に入り、目はしみて、髪はどんどん乱れていく。 それでも、その合間には心が温かくなる瞬間があった。ほんの数秒でも、二人同時に立てた瞬間。穏やかな波が二人を前へ運び、時間が止まったように感じた瞬間。 彼らは気づいた。 これは、誰が一番長くボードの上に立てるかという話ではない。人にかっこよく見せるためのものでもない。大切なのは、挑戦する勇気、転ぶこと、そして 一緒に立ち上がることなのだ。
