リラックスして」とインストラクターは笑顔で言った。 「とにかくやってみて。プレッシャーはないよ。
新しい
2026-04-23
悪くないよ。
初めてサーフボードの上に立ったとき、自分の足じゃないみたいに感じた。
岸から見る海は穏やかで美しく、誘われるようだった。でもいざパドルして沖に出ると、その力強さと予測できなさに圧倒された。小さな波でさえ急に大きく感じられて、心臓はドキドキしっぱなし。「なんで自分はここにいるんだろう?」と何度も思った。
「リラックスして」とインストラクターは笑顔で言った。
「とにかくやってみて。プレッシャーはないよ。」
言うのは簡単だよね、と思った。
最初の何回かはひどいものだった。パドルが遅すぎたり、立つのが早すぎたりして、すぐバランスを崩す。バシャッ。口に入る海水。顔に張りつく髪。それの繰り返し。だんだん恥ずかしくなってきて、「自分には向いていないのかも」と思い始めていた。
でも、そのとき何かが変わった。
ある波で、少し早めにパドルしてみた。インストラクターの言葉を思い出した――「ゆっくり立って、焦らないで」。体を押し上げて、足を置いて……ほんの数秒だったけど、本当に立てた。
完璧じゃなかった。膝は震えていたし、腕もバラバラだった。それでも、確かに波に乗っていた。
岸に戻ったとき、息を切らしている私に、インストラクターは笑って言った。
「悪くないよ、初めてにしては。」
悪くない。
その一言が、すべてだった。上手くなることじゃなくて、始めること。新しいことに挑戦して、何度も転んで、また立ち上がって、その小さな成功を感じること。
セッションの終わりには、まだ初心者のままだった。相変わらず乗るよりも転ぶほうが多かった。でも、もう怖さはなかった。
代わりにあったのは、ワクワクする気持ち。
だって、自分にもできるって分かったから。
